
バスク風ビーフシチュー
Estofado vasco / バスク風ビーフシチュー
この料理について
ネバダ州北部・西部の高原地帯には、19世紀末からバスク地方(スペイン・フランス国境の山岳地帯)出身の羊飼いが入植した歴史がある。彼らの子孫が今も暮らすウォッショー郡周辺では、バスク系の煮込み料理が家庭の日常食として根付いている。特別な行事食ではなく、週の半ばに大鍋で作っておく平日の食事として位置付けられている。
材料(4〜5人分)
| 食材 | 分量 | 日本での入手 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 牛肩ロース(角切り4cm角) | 800g | スーパー精肉コーナー | チャックロールでも可 |
| 玉ねぎ | 2個(大) | スーパー | 粗みじん切り |
| にんにく | 4〜5片 | スーパー | 潰す |
| セロリ | 2本 | スーパー | 2cm幅切り |
| にんじん | 3本 | スーパー | 大きめの乱切り |
| じゃがいも(メークインまたはYukon Gold種) | 4個(中) | スーパー | 皮付きのまま4等分 |
| トマト缶(ホールまたはダイス) | 400g缶 1缶 | スーパー | |
| 牛骨だしまたはビーフブロス | 480ml(2カップ) | 業務スーパー・Amazon | 缶・パック可 |
| 赤ワイン | 240ml(1カップ) | スーパー | 飲めるもの、甘口でなければ何でも可 |
| トマトペースト | 大さじ2 | スーパー・KALDI | |
| パプリカパウダー(スモーク) | 大さじ1 | KALDI・富澤商店・Amazon | バスク料理の要。通常パプリカで代用可だが風味は変わる |
| 乾燥オレガノ | 小さじ1 | スーパー | |
| 乾燥タイム | 小さじ1 | スーパー | |
| ローリエ | 2枚 | スーパー | |
| 塩 | 適量 | ||
| 黒こしょう | 適量 | ||
| 植物油(またはラード) | 大さじ2〜3 | スーパー | ラードの方が風味が出る |
| 小麦粉 | 大さじ3 | スーパー | 肉にまぶす用 |
アレルゲン:小麦(小麦粉)、セロリ(一部アレルギー該当)。赤ワインにも亜硫酸塩含有のものが多い。
ソース照合メモ
| 食材 | 現地語ソース(スペイン語/バスク語) | 英語ソース | 日本語ソース | 判定 |
|---|---|---|---|---|
| 牛肉(肩・すね等) | 必須(estofado, pucheroの基本) | Basque beef stew recipe 複数に記載 | ネバダ州バスク食文化の記事に言及 | 必須 |
| 玉ねぎ・にんにく | 全バスク煮込みに共通 | 共通 | 共通 | 必須 |
| スモークパプリカ | pimentón ahumado として頻出 | smoked paprika として強調 | — | 必須(核) |
| 赤ワイン | vino tinto として必須 | 必須として記載 | — | 必須 |
| トマト・トマト缶 | 基本材料 | 基本材料 | — | 必須 |
| じゃがいも | 一部ソースで根菜として登場 | 多数ソースに記載 | — | 必須(ネバダ家庭版の特徴) |
| トマトペースト | 一部ソースのみ | 一部ソースに記載 | — | オプション(深み出しに有効) |
| セロリ | 一部 | 複数 | — | オプション(あると香りが出る) |
この料理を成立させる核
- スモークパプリカ(pimentón ahumado)を省かない。これがバスク系煮込みと一般的なアメリカのビーフシチューを分かつ最大の要素。通常のパプリカで代用した場合、スモーク感がなくなり別の料理になる
- 赤ワインで肉を煮込む。ビーフブロスだけで作ると風味が平板になる
- 肉に小麦粉をまぶしてから焼き付ける。この工程が煮汁にとろみを与える。省くとさらさらのスープになる
- 焼き付けは省かない。肉の表面をしっかり焼いてから煮込む。この焦げがシチュー全体の色と深みの基盤になる
- 根菜は大きめに切る。崩れて消えるのではなく、食べごたえのある塊として存在する
作り方
- 牛肉に塩・黒こしょうをまぶし、小麦粉を全面に薄くはたく
- ダッチオーブン(または厚手の鍋)を中強火で熱し、油を引く。牛肉を重ならないようにバッチに分けて入れ、全面に焦げ色がつくまで焼く(1バッチ4〜5分)。肉を取り出す
- 同じ鍋に玉ねぎ・セロリを加え、中火で5〜7分炒める。焦げ付いた肉の旨みを木べらでこそぎながら炒める
- にんにくを加えてさらに1分。トマトペーストを加えてさらに1〜2分、鍋底に薄く焦がすように炒める
- 赤ワインを加え、鍋底をこそぎながら2〜3分煮立てる(アルコールを飛ばす)
- 牛肉を戻し入れる。トマト缶、ビーフブロス、スモークパプリカ、オレガノ、タイム、ローリエを加える
- 強火で一度沸かし、アクを取る。弱火にして蓋をし、1時間〜1時間30分煮込む(肉がフォークで崩れる手前まで)
- にんじん・じゃがいもを加え、再び蓋をして30〜40分煮る(じゃがいもが柔らかくなるまで)
- ローリエを取り出す。塩・黒こしょうで味を整える。必要であれば蓋を外して弱火で5〜10分煮詰め、とろみを調整する
食べ方
深めの皿に盛り、スライスしたパン(白パン・バゲット・クラッカー)を添える。スープを皿に残さずパンで拭き取るのがこの地域の家庭での食べ方。テーブルには塩とコショウだけを置く。コーヒーと一緒に出されることが多い。
補足
- 失敗しやすいポイント:じゃがいもを最初から入れると煮崩れて泥状になる。必ず肉が柔らかくなってから加えること
- スモークパプリカの代用:通常パプリカ大さじ1+液体スモーク(Amazon・KALDI)数滴で近づけられる。液体スモークがなければ通常パプリカのみでも成立するが、風味は明確に変わる
- 時短バージョン:圧力鍋使用で工程7の煮込みを25〜30分に短縮可。食感は柔らかくなりすぎる場合があるため、じゃがいも・にんじんは圧力後に加えて普通に10〜15分煮ること
- 翌日の楽しみ方:冷蔵庫で一晩置くと脂が固まり取り除きやすい。再加熱すると味が締まる。残りに缶詰のビーンズ(白インゲン豆)を加えると別の一品になる
同じ場所でも、毎回違う家族・違う偶然・違う料理になります。