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- 国:アメリカ合衆国(ハワイ州) - 地域:ホノルル、オアフ島南部。島の中心的な都市圏で、住宅地・商業地・工業地が混在する - 気候・地形:熱帯性気候。年間を通じて気温25〜30℃前後。貿易風が吹き、山側と海側で降雨量が異なる。オアフ島は火山性の島で、平野部は狭い - 暮らしの基本:多民族・多文化が混在する都市。日系、フィリピン系、ポルトガル系、ネイティブハワイアン、白人系などが隣り合って暮らす。食文化は「ローカルフード」と呼ばれる独自の混合食文化を持つ。プレートランチ文化が根付いており、白米がほぼすべての食卓に登場する ---
カリヒの住宅地に入る路地は、アスファルトが細かくひび割れている。 両側に平屋建てか二階建ての木造家屋が並ぶ。 ラナイ(前廊下)に折りたたみ椅子が出たまま放置されている家、スプリンクラーが回りっぱなしの芝、庭先に止めた錆びた軽トラック。 あなたの足の裏に、ジャングルシューズ越しの熱がある。 午後二時の太陽は真上から来る。 コンビニエンスストアのような小さなショップから、ポルトガル語と英語と日本語が混ざったような音が聞こえた。 正確には聞き取れない。 軒先に木製のラックがあって、ビニール袋に入ったドライフラワーと延長コードが並んで売られていた。 店先でクーラーボックスのふたを閉めていたのがロナルドだった。 五十代、体格がよく、フィリピン系の顔立ち。 ワーク用の緑のTシャツ。首の後ろが日焼けで黒い。 配管の仕事をしている、と後でわかる。 あなたのサンダルが壊れた。 ベルトがバックルから完全に外れた。 ロナルドはそれを見て、何か言った。 全部は聞き取れなかったが、ついてこいという意味だと判断した。 三分ほど歩いた。 家はコンクリートブロック積みの平屋で、外壁は白い塗装がところどころ剥げている。 ラナイに靴が六足。スリッパが四足。 全部バラバラのサイズ。 ドアの前でロナルドは自分の作業靴を脱いだ。 あなたも片方になったサンダルを外す。 床はビニールタイルで、ひんやりしている。 天井にシーリングファンが回っている。音はしない。 テレビが、音量を絞った状態でスポーツチャンネルを流している。 台所とリビングはつながっている。 奥に女性がいた。五十代、ロナルドの妻と後でわかる。名前はラケル。 フィリピンで育ち、二十代でオアフに来た、と後でわかる。 ラケルはコンロの前に立っている。 大きなアルミの鍋がふたつ。右のコンロで何かが煮えている。 音は低い。グツグツではなく、ふたが微かに揺れる程度の火加減。 左のコンロではフライパンにオイルが温まっている。ニンニクの刺激が空気に混じっている。 冷蔵庫の磁石に子どもの写真が貼ってある。 テーブルの端にフィリピン語の雑誌。 窓の外は隣家の壁で、隙間から鳥の声が来る。 ロナルドがガレージからビニール紐を持ってきて、あなたのサンダルを応急処置する。 ラケルが何かを言う。テーブルに着けという意味だと判断した。 テーブルは四人掛けで、布のテーブルクロスがかかっている。プラスチックの花柄。 電子レンジが鳴った。 炊飯器から蒸気が出ている。 ラケルが深皿を置いた。 ブロスが茶色く透き通っている。 表面に丸い脂の玉がいくつか浮いている。 具が沈んでいる。緑のものと白いものと、くすんだ桃色のもの。 次に白い飯が茶碗に山盛りになって置かれた。 スープからは、酸味のある匂いが来る。 フルーツの酸とも違う。発酵の酸とも違う。 タマリンドだと後でわかる。 ラケルがスプーンを二本置いた。 ロナルドが椅子を引いた。 あなたはその前に立っている。 ---
今日のふらりごはん

Sinigang na Baboy / シニガン・ナ・バボイ

Sinigang na Baboy / 豚バラのシニガン

この料理について

シニガンはフィリピンの家庭食卓に最も頻繁に登場するスープ料理のひとつで、タマリンドや酸っぱい果実を使った酸味のあるブロスが特徴。「バボイ」は豚を意味し、豚バラ肉を使うのが最も一般的な日常バージョン。ホノルルのフィリピン系コミュニティでは本国とほぼ同じ作り方で作られ続けており、週に一度以上食卓に上がる家庭も多い。

材料(4人分)

食材分量日本での入手備考
豚バラ肉(骨付きまたは骨なし)600gスーパー骨付きの方がブロスに深みが出る
タマリンドペースト(または粉末ミックス)大さじ2〜3(粉末なら1袋約40g)KALDI・業務スーパー・Amazon・富澤商店粉末タイプの「Knorr Sinigang Mix」が入手しやすい。風味の差:粉末は酸味がやや均一でフラット
ナンプラー(またはパティス)大さじ2スーパーパティス(フィリピン魚醤)が本来。ナンプラーで代用可、やや香りが異なる
1.5リットル
玉ねぎ1個(くし切り)スーパー
トマト大2個(くし切り)スーパー酸味と色をブロスに加える
大根1/3本(ひと口大)スーパー本来はラバノス(白大根の一種)を使う。日本の大根で代用可
ナス1本(斜め切り)スーパー
インゲンまたはモロヘイヤ100gスーパー本来はシトロン豆(sitaw)や水菜(kangkong)だが代用可
適量
ご飯人数分白米。これは必須

アレルゲン:魚醤(魚)、小麦(一部ブランドのシニガンミックスに含む場合あり)

ソース照合メモ

食材現地語ソース(フィリピン語・英語現地)英語ソース日本語ソース判定
豚バラ肉必須(bone-in推奨)必須言及あり必須
タマリンド/シニガンミックス必須(タマリンドが本来)必須(ミックスも可)ミックス言及必須(タマリンドが核)
トマト全ソース共通全ソース共通言及あり必須
玉ねぎ全ソース共通全ソース共通必須
パティス(魚醤)強く推奨代用可とのみ必須(ナンプラー代用可)
大根(ラバノス)頻出頻出準必須
ナス頻出頻出準必須
青野菜(kangkong等)必須推奨準必須

この料理を成立させる核

  • 酸味がスープの主役であること。甘みや辛みではなく、酸味がブロス全体のトーンを決める
  • タマリンドが酸味の本来の出どころ。シニガンミックスで代用した場合は別物になる、というほどではないが、生タマリンドや純粋なタマリンドペーストはブロスに複雑さを与える
  • パティス(フィリピン魚醤)でテーブル調整すること。食べながら自分でかけ足す。これを省くと塩のみの仕上がりになり、旨みの層が変わる
  • 白米と一緒に食べること。スープを米にかけて食べるスタイルが前提。スープだけで完結させない
  • 煮過ぎない野菜。シャキシャキが残る程度で止める。煮崩れたものは別の料理になる

作り方

  1. 鍋に水1.5リットルと豚バラ肉を入れ、強火にかける。沸騰したらアクをすくう
  2. 玉ねぎとトマトを加え、中火に落とす。30〜40分、豚肉が柔らかくなるまで煮る
  3. タマリンドペーストを加える(粉末ミックスを使う場合はここで投入)。よく混ぜる
  4. パティスまたはナンプラーを加え、塩で味を調える。ブロスを一口味見し、酸味と塩味のバランスを確認する
  5. 大根を加え、中火で5〜7分煮る
  6. ナスとインゲン(または代用野菜)を加え、3〜4分。野菜がやや硬さを残している程度で火を止める
  7. 器に盛り、パティスとご飯を添えて出す

食べ方

深皿にスープと具を盛り、白米の茶碗を別に用意する。米にスープをかけながら食べるのが家庭での一般的なスタイル。テーブルにパティスを置き、各自が追いがけする。

補足

  • 失敗しやすいポイント:タマリンドの量を入れすぎると酸味が突出し、他の風味が消える。少量から加えて調整する
  • 代用提案:タマリンドの代わりに梅干し1〜2個で代用可能。酸味のニュアンスが梅よりまろやかになるが、酸味の役割は果たす。レモン汁(大さじ3〜4)でも可だが、香りが洋風にシフトする
  • 時短バージョン:圧力鍋を使えば豚肉の加熱を10〜15分に短縮できる。その後シニガンミックスと野菜を加えて通常通り仕上げる
  • 翌日:ブロスにタマリンドの酸味がなじみ、翌日の方が味が落ち着くという声が多い。野菜は取り出して保存し、再加熱時に戻すと煮崩れしにくい
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同じ場所でも、毎回違う家族・違う偶然・違う料理になります。

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