
料理名
けんちん汁 / Kenchinjiru
この料理について
神奈川県・鎌倉市を代表する汁物で、鎌倉の建長寺(けんちょうじ)の精進料理が起源とされる。肉・魚を使わず、根菜・豆腐・こんにゃくをごま油で炒めてから出汁で煮る汁物として、この地域の家庭に定着している。農林水産省「うちの郷土料理」にも神奈川県の郷土料理として登録されており、鎌倉市の小学校給食では年3回ほど提供されている。
材料(2〜3人分)
| 食材 | 分量 | 日本での入手 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 木綿豆腐 | 1/2丁(約150g) | スーパー全般 | 水切りして使う |
| 大根 | 40g(約2cm分) | スーパー全般 | いちょう切り |
| にんじん | 30g | スーパー全般 | いちょう切り |
| れんこん | 30g | スーパー全般 | いちょう切り;なければゴボウで代用可(食感と土の風味が変わる) |
| こんにゃく | 50g | スーパー全般 | 手でちぎる(重要) |
| ごぼう | 30g | スーパー全般 | 斜め薄切りまたはささがき |
| 里芋 | 30g | スーパー全般・旬は秋冬 | 一口大;なければじゃがいもで代用(煮崩れやすくなる) |
| 昆布だし(または昆布と干ししいたけの合わせだし) | 400〜450ml | スーパー全般 | 精進料理の由来に合わせるなら昆布のみ |
| ごま油 | 大さじ1 | スーパー全般 | 炒め用。省略不可 |
| 醤油 | 大さじ1〜1.5 | スーパー全般 | 薄口醤油でも可 |
| 塩 | 小さじ1/4〜適量 | スーパー全般 | 味の調整用 |
| すりごま | 大さじ1 | スーパー全般 | 仕上げ用 |
| 酒 | 大さじ1 | スーパー全般 | 風味付け |
アレルゲン:ごま(すりごま、ごま油)、大豆(豆腐、醤油)
ソース照合メモ
農林水産省「うちの郷土料理」(日本語一次ソース)を主軸に、鎌倉家庭料理ネットワーク(kcn-net.org)の記述と照合した。
| 食材・工程 | 農水省ソース(日本語) | kcn-net(地域ソース) | 判定 |
|---|---|---|---|
| 木綿豆腐 | ◎記載あり | ◎記載あり | 必須 |
| 大根 | ◎記載あり | ◎記載あり | 必須 |
| にんじん | ◎記載あり | ◎記載あり | 必須 |
| れんこん | ◎記載あり | ○言及あり | 必須 |
| こんにゃく | ◎記載あり | ○言及あり | 必須 |
| ごぼう | ◎記載あり | ○言及あり | 必須 |
| 里芋 | ◎記載あり | ○言及あり | 必須 |
| ごま油で炒める | ◎記載あり(精進由来の工程) | ◎記載あり | 必須・核 |
| こんにゃくを手でちぎる | ◎強調あり | ○言及あり | 必須・核 |
| 昆布だし(精進) | ◎記載あり | ○言及あり | 家庭では煮干だしも混在 |
| すりごま仕上げ | ○記載あり | ○言及あり | 標準的 |
| 肉・魚介を使わない | ◎前提として明記 | ◎前提 | 必須(原則) |
この料理を成立させる核
- ごま油で炒めてから煮る:根菜・豆腐・こんにゃくをごま油で炒めてから出汁を加える。この順番を省略すると「精進の汁物」ではなく「野菜の澄まし汁」になる
- 豆腐は炒める前に崩す:水切りした豆腐を鍋に入れて粗く崩しながら炒める。最初から賽の目に切ると、この料理の崩れた質感が出ない
- こんにゃくは手でちぎる:断面の凹凸が液体と風味をよく含む。包丁で切ると表面積が小さくなり、食感の差が出る
- 肉・魚介を使わない:出汁も含め、精進ベース(昆布・干ししいたけ)が由来に忠実。煮干だしを使う家庭も多いが、動物性出汁にすると性格が変わる
- 汁は透明に近い薄味:醤油を入れすぎない。根菜の甘みと油の香りが汁に出るので、塩気は控えめで仕上げる
作り方
- 豆腐の水切り:木綿豆腐をキッチンペーパーで包み、10〜15分おく。または電子レンジ600Wで1分加熱して水分を飛ばす
- 野菜の下処理:大根・にんじん・れんこんはいちょう切り(厚さ5mm前後)。ごぼうはささがきまたは斜め薄切りにして水にさらす。里芋は一口大。こんにゃくは手で一口大にちぎる
- 炒め:鍋にごま油を中火で熱する。こんにゃく→ごぼう→にんじん→大根→れんこん→里芋の順に炒める。全体に油が回ったら、豆腐を手で粗く崩しながら加え、さらに2分ほど炒める
- 出汁を加える:昆布だし(または合わせだし)400〜450mlを加える。強火にして沸騰したらアクをすくう
- 煮る:中火に落とし、蓋をずらして15〜20分。大根とにんじんに箸がすっと入れば火が通っている
- 調味:酒大さじ1、醤油大さじ1〜1.5、塩小さじ1/4を加えて味を調える。汁はほぼ透明のままを目指す。醤油を入れすぎない
- 仕上げ:椀に盛り、すりごまを振る
食べ方
ごはんのおかずとして、または単独の汁物として食べる。白飯と一緒が基本。根菜が多いので汁物単体でもかなりの量になる。翌朝に温め直してもよい。
補足
失敗しやすいポイント
- 豆腐の水切りが甘いと汁が白濁し、余計な水分が出る。短時間でも水切りは必ずやる
- 醤油を入れすぎると色が濃くなりすぎる。少量ずつ加えて調整する
- 里芋は煮すぎると溶けるので、他の野菜より少し遅めに入れてもよい
代用提案の風味差
- れんこん→ごぼう:食感は似るが、土の香りが強くなる。シャキ感はれんこんのほうが残る
- 昆布だし→煮干だし:うまみが強くなりコクが出るが、精進の軽さが失われる
- 里芋→じゃがいも:煮崩れしやすく汁がとろみがかる。悪くはないが別の料理感が出る
時短バージョン 炒め工程をごま油少量でさっと行い(5分)、あとは市販の昆布だしパックで煮る。根菜は薄めに切ると煮時間が10分に縮まる
翌日の楽しみ方 根菜が汁を吸って柔らかくなる。温め直す際に水を少量足す。そのまま雑炊の出汁にも使える
同じ場所でも、毎回違う家族・違う偶然・違う料理になります。