
料理名
مجبوس / マジブース(Majboos / Machboos)
この料理について
マジブースは、エミラティの家庭で週に複数回作られるごく日常の米料理だ。バスマティ米をスパイスで煮た煮汁で炊き、その上に肉(鶏、羊、魚のいずれか)を乗せる。「炊き込みごはん」と「煮込み肉」が同時に成立している料理で、ドバイを含むUAE全土で普通に食卓に上がる。婚礼や祭事にも出るが、平日のごはんとしても特別感はない。
材料(4人分)
| 食材 | 分量 | 日本での入手 | 備考 |
|---|---|---|---|
| バスマティ米 | 2カップ(約400g) | KALDI・業務スーパー・Amazon | 長粒米。日本米では食感が別物になる |
| 鶏もも肉(骨付き) | 800g〜1kg | スーパー | 骨付きが定番。骨なしでも可 |
| 玉ねぎ | 大2個 | スーパー | |
| トマト(完熟) | 大2個 | スーパー | 缶詰トマトで代用可 |
| にんにく | 4〜5片 | スーパー | |
| しょうが | 親指1本分(約20g) | スーパー | |
| バハラートスパイスミックス | 大さじ1.5 | KALDI・富澤商店・Amazon | 後述のハウスブレンド参照 |
| カルダモン(ホール) | 4粒 | KALDI・富澤商店 | |
| シナモンスティック | 1本 | スーパー・KALDI | |
| クローブ(ホール) | 4粒 | スーパー・KALDI | |
| ローズウォーター | 小さじ1 | 富澤商店・Amazon・ハラール系 | 省くと最後の香りの層が消える |
| サフラン | ひとつまみ | KALDI・富澤商店 | 温湯大さじ2に浸しておく。スープの色付けに使う |
| 植物油(またはギー) | 大さじ3 | スーパー(ギーはKALDI・Amazon) | ギーのほうが現地に近い風味 |
| 鶏がらスープまたは水 | 3カップ | スーパー(スープの素で可) | 米を炊く水として使う |
| 塩 | 適量 | スーパー | |
| 揚げ玉ねぎ(バーシタ) | 大1個分 | 自作または市販品 | 仕上げに乗せる。省けるが風味が落ちる |
| 干しレモン(ルーミ) | 1〜2個 | ハラール系・Amazon | 核となる食材。後述 |
アレルゲン:鶏肉(なし)、ギー使用時は乳製品。グルテンなし。ナッツなし(このレシピは)。
バハラートについて(自家製ブレンド)
市販のバハラートが入手できない場合、以下を混ぜる:
| スパイス | 分量 |
|---|---|
| コリアンダーパウダー | 小さじ2 |
| クミンパウダー | 小さじ1 |
| ブラックペッパー | 小さじ1 |
| シナモンパウダー | 小さじ0.5 |
| ナツメグパウダー | 小さじ0.25 |
| パプリカパウダー | 小さじ1 |
| カルダモンパウダー | 小さじ0.5 |
ソース照合メモ
| 要素 | アラビア語系ソース | 英語系ソース | 日本語ソース | 判定 |
|---|---|---|---|---|
| バスマティ米 | ◎ | ◎ | ◎ | 必須 |
| バハラートスパイスミックス | ◎ | ◎ | ◎ | 必須 |
| 干しレモン(ルーミ) | ◎(強調) | ◎ | △(言及少) | 地域固有・必須 |
| 骨付き鶏もも肉 | ◎ | ◎ | ◎ | 必須 |
| ローズウォーター(仕上げ) | ◎ | ◎ | △ | 必須(省略不可) |
| サフラン(色付け) | ◎ | ◎ | ○ | 必須(代用:ターメリック少量) |
| 肉を先に煮てから米を炊く工程 | ◎ | ◎ | ◎ | 必須(工程の核) |
| 揚げ玉ねぎ乗せ | ◎ | ◎ | ○ | ほぼ必須 |
| カシューナッツ・レーズン乗せ | △(一部) | △(一部) | △ | オプション(祝祭バージョン) |
| トマトペースト | ○ | ○ | △ | オプション(家庭差あり) |
この料理を成立させる核
- 干しレモン(ルーミ / loomi / ライム乾燥)を煮汁に入れること。これがマジブースの風味の芯。ペルシャ湾岸料理特有の酸味と燻したような後味を作る。省くと別の炊き込みごはんになる。
- 肉を先にスパイス+玉ねぎ+トマトで煮込み、その煮汁で米を炊く。肉と米を最初から一緒に炊かない。この工程の順序がマジブースとビリヤニを分ける。
- ローズウォーターを炊き上がりに加える。香りの最終層。炊いている途中では入れない。
- バハラート(中東系複合スパイス)。クミン・コリアンダー・シナモン・カルダモン・クローブ・ナツメグを含む。単品スパイスの寄せ集めでは代替できるが、配合バランスが変わると全体が変わる。
作り方
-
米を洗う。バスマティ米を水が濁らなくなるまで洗い、水に30分浸してからざるに上げる。
-
サフラン水を作る。サフランをひとつまみ、温湯大さじ2に浸して色を出しておく(10分以上)。
-
干しレモンを準備する。ルーミ(干しレモン)は、竹串かフォークで表面に数か所穴を開ける。こうすることで内側の風味が煮汁に出やすくなる。
-
玉ねぎを炒める。鍋(厚底推奨)に油またはギーを中火で熱し、薄切り玉ねぎを入れる。焦げ茶色になるまで15〜20分かけてゆっくり炒める(ここで色と甘みが決まる)。
-
にんにく・しょうがを加える。すりおろしたにんにくとしょうがを加え、1〜2分炒める。焦がさない。
-
スパイス類を加える。バハラート大さじ1.5、カルダモン、シナモンスティック、クローブを加え、30秒炒める。焦げやすいので素早く。
-
トマトを加える。粗みじん切りにしたトマトを加え、中火で5〜7分、水分が飛んで鍋底に貼り付き始めるまで炒める。
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鶏肉を加える。鶏もも肉を加え、表面全体に色がつくまで強火で3〜4分炒める。
-
干しレモンを加えて煮込む。穴を開けたルーミを鍋に入れ、塩で調味し、水またはスープを鶏肉がかぶる程度(約2カップ)加える。蓋をして中火で25〜30分煮込む。
-
鶏肉を取り出す。肉が柔らかくなったら取り出して脇に置く。煮汁の量を測る。米2カップに対して煮汁は約3カップ必要。足りなければ水を足す。多ければ少し煮詰める。
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米を炊く。同じ鍋の煮汁に米を入れ、強火で沸騰させる。沸騰したら弱火にし、蓋をして15〜18分炊く。水分がほぼなくなり、米の表面に穴が開いてきたら炊き上がりのサイン。
-
サフランとローズウォーターをかける。火を止める直前、炊き上がった米の上にサフラン水とローズウォーターをふりかける。蓋をしてそのまま5分蒸らす。
-
仕上げ。大皿に米を盛り、取り出しておいた鶏肉を上に乗せる。揚げ玉ねぎを全体にかける。
食べ方
床またはテーブルに置いた大きなトレイの中央に深皿ごと置き、右手で食べるのが家庭での標準。スプーンを使うことも多い。別皿にサラダ(きゅうり・トマトのみじん切り)やラブネ(水切りヨーグルト)が添えられることが多い。食後にカルダモン入りコーヒー(カフワ)が出る家庭も多い。
補足
干しレモン(ルーミ)の入手と代用
- 入手先:ハラール系食料品店、Amazon、富澤商店
- 代用:ライムの皮1個分+乾燥させたライム汁小さじ1で風味を近づけられるが、燻したような後味は出ない。本場の風味から約30%落ちる。
失敗しやすいポイント
- 玉ねぎを炒める時間を省くと全体の甘みと色が出ない。ここを急ぐと別の料理になる。
- 煮汁の量が合わないと米が硬いまま、または水っぽくなる。工程10の計量は省かないこと。
- 蓋を開けて確認しすぎない。炊飯中は蒸気を逃がさない。
サフランの代用
- ターメリック小さじ1/8で色を代用できる。ただし風味は異なる(ターメリックはやや土臭い)。
時短バージョン
- 鶏肉を骨なしもも肉にすると煮込み時間を20分に短縮できる。煮汁の風味は若干落ちる。
翌日の楽しみ方
- 冷蔵保存し、翌日フライパンで油少量を使って底をカリカリに焼き直すと、香ばしさが加わって別の食感になる。中東でもこの食べ方は一般的。
同じ場所でも、毎回違う家族・違う偶然・違う料理になります。