
ブッフ・ブルギニョン / Bœuf bourguignon
Bœuf bourguignon(ブッフ・ブルギニョン)/ 牛肉の赤ワイン煮込み
この料理について
もとはブルゴーニュ地方の農家料理で、硬い部位の牛肉を赤ワインで長時間煮込んで柔らかくしたものだ。現在はパリ市内のビストロでも家庭でも作られ、週末の昼食や寒い季節の平日夕食として登場する。手間はかかるが材料は安価で、翌日の残りがむしろよくなるため、まとめて作る家庭が多い。
材料(4人分)
| 食材 | 分量 | 日本での入手 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 牛肩ロースまたは牛すね肉 | 800g | スーパー、業務スーパー | 4〜5cm角に切る。硬い部位が適している |
| 赤ワイン(フルボディ) | 750ml(1本) | スーパー、コンビニ | 安価なもので可。ピノ・ノワールが定番だが、カベルネでも可 |
| 牛スープストック(または水) | 200ml | スーパー(固形スープの素で代用可) | 固形の場合は1個を200mlのお湯で溶く |
| 玉ねぎ | 2個(中) | スーパー | 粗みじんと小玉ねぎ(ペルル)の両方をレシピに応じて使う |
| 人参 | 2本 | スーパー | 輪切り |
| ベーコン(ラルドン) | 150g | スーパー、KALDI | 角切りの厚切りベーコンで代用可。薄切りは不向き |
| マッシュルーム | 200g | スーパー | 丸ごとまたは四つ割り |
| ニンニク | 3片 | スーパー | 軽く潰す |
| トマトペースト | 大さじ1 | スーパー | 少量でよい |
| 小麦粉 | 大さじ2 | スーパー | 肉にまぶす用 |
| ブーケガルニ | 1束 | KALDI、富澤商店、または手作り | タイム・ローリエ・パセリの茎を束ねたもの。乾燥タイム小さじ1+ローリエ2枚で代用可 |
| サラダ油またはバター | 大さじ2 | スーパー | 炒め用 |
| 塩・黒こしょう | 適量 | スーパー | — |
アレルゲン:小麦(粉)、乳製品(バターを使用する場合)、亜硫酸塩(ワイン)
ソース照合メモ
| 食材・工程 | フランス語ソース(fr) | 英語ソース(en) | 日本語ソース(ja) | 判定 |
|---|---|---|---|---|
| 牛肩ロース・すね肉 | ○(paleron, gîte) | ○ | ○ | 必須 |
| 赤ワイン(大量・1本) | ○ | ○ | ○ | 必須 |
| ベーコン(ラルドン)炒め | ○(lardons) | ○ | ○ | 必須 |
| 小麦粉をまぶして焼く | ○ | ○ | ○ | 必須 |
| ブーケガルニ(タイム・ローリエ) | ○ | ○ | ○ | 必須 |
| マッシュルーム | ○ | ○ | ○ | 必須 |
| トマトペースト | ○(現地では少量) | ○(一部ソース省略) | △ | 必須(少量) |
| 人参 | ○ | ○ | ○ | 必須 |
| 煮込み時間2〜3時間 | ○ | ○ | ○ | 必須 |
| ブランデー・コニャック | △(一部ソースのみ) | △ | — | オプション |
| 小玉ねぎ(グラッセ) | ○(現地で頻出) | △ | △ | 地域固有・推奨 |
この料理を成立させる核
- 牛肉をワインに一晩以上マリネしてから使うか、または煮込みにワインをたっぷり(750ml前後)使うこと。水や出汁で薄めすぎると別の料理になる
- ラルドン(角切りベーコン)を最初に炒めて脂を出し、その脂で肉を焼く。この手順が風味の基盤になる
- 肉に小麦粉をまぶしてから焼く。これで表面が焼き固まり、煮汁がとろりとした質感になる。粉を省くとさらさらしたスープになる
- ブーケガルニを必ず入れる(タイム+ローリエ最低限)。これがフランスの煮込みとアジアの煮込みを分ける要素
- 弱火で2〜3時間、沸騰させずに煮込む。強火で短時間では肉が硬くなり、ソースが分離する
- マッシュルームは最後の30分前後に加える。最初から入れると溶けてなくなる
作り方
- 牛肉は4〜5cm角に切り、塩・黒こしょうを全体にふる。小麦粉をまぶして余分な粉を落とす。
- 厚手の鍋(またはダッチオーブン)にサラダ油またはバターを中火で熱し、角切りベーコンを炒める。脂が出てきたらベーコンを取り出し、同じ鍋で牛肉を全面焼き色がつくまで焼く(2〜3分ずつ)。焼いた肉を取り出す。
- 同じ鍋に玉ねぎ(粗みじん)とニンニクを入れ、中火で5分炒める。しんなりしたらトマトペーストを加えてさらに1分炒める。
- 人参の輪切りを加えて混ぜ、赤ワインを全量注ぐ。木べらで鍋底をこそいで焦げを溶かす。
- 牛スープストック(または水200ml)を加え、肉とベーコンを鍋に戻す。ブーケガルニを入れる。
- 沸騰直前まで加熱したら弱火にし、フタをずらしてかぶせた状態で2〜2時間半煮込む。途中で表面のアクと脂をすくう。
- 残り30分のタイミングで、マッシュルーム(丸ごとまたは四つ割り)を加える。
- 肉が箸やフォークで抵抗なく割れる状態になったら火を止める。ブーケガルニを取り出す。塩で味を調える。
食べ方
パンを添えてソースをすくいながら食べるのが基本。茹でたジャガイモ、または卵入りパスタ(タリアテッレ)を添えると一皿で完結する。パリの家庭では鍋ごとテーブルに出すことが多く、個別盛りつけにこだわらない。
補足
- 失敗しやすいポイント:強火で沸騰させ続けると肉が締まって硬くなる。鍋の中がふつふつと小さく揺れる状態(フランス語でfrémir)を維持すること。
- 代用提案の風味差:ワインを安価なものにしても問題ないが、ジュースのような甘口ワインは使わないこと。「料理用ワイン」として売られている低品質な塩入りのものも避ける。牛すね肉の代わりに牛バラ肉でも作れるが、脂が多くなりソースが重くなる。
- 時短バージョン:圧力鍋を使えば40〜50分で同等の柔らかさが得られる。ただし蒸発が起きないのでソースの濃度が出にくく、最後にフタを外して5〜10分煮詰める工程が必要。
- 翌日の楽しみ方:冷蔵庫で一晩おくと脂が固まって取り除きやすくなり、味が均一に落ち着く。温め直す際は弱火で、沸騰させないこと。
同じ場所でも、毎回違う家族・違う偶然・違う料理になります。