
料理名
Adobo / アドボ(チキンまたはポーク)
この料理について
アドボはフィリピンの家庭で日常的に作られる煮込み料理で、特定の祭事や祝い事とは無関係に平日の食卓に登場する。酢と醤油を軸にした酸味のある煮汁が特徴で、冷蔵庫のない時代に保存食として発達した経緯があるとされる。バンクーバーのフィリピン系家庭では、故郷の地域ごとのバリエーション(酢の種類、唐辛子の有無など)がそのまま持ち込まれており、「家庭の数だけレシピがある」料理でもある。
材料(4人分)
| 食材 | 分量 | 日本での入手 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 鶏もも肉(骨つき)または豚バラ肉 | 800g | スーパー全般 | 骨つきの方が出汁が出る。骨なしでも可 |
| 白米酢またはスキャンス酢 | 大さじ6〜8(約90〜120ml) | スーパー全般 | 本場はサガリ(サトウキビ酢)を使う地域もある。米酢で代用可。風味はやや穏やかになる |
| 醤油(フィリピン産または薄口) | 大さじ4〜5 | KALDI、業務スーパー、Amazon | フィリピン醤油(Silver Swan等)は日本醤油より塩気が強い。日本の濃口醤油の場合は大さじ4で様子をみること |
| ニンニク | 6〜8片 | スーパー全般 | 潰す。みじん切りにしない |
| 月桂樹の葉(ローリエ) | 3〜4枚 | スーパー全般 | 省略するとかなり風味が落ちる |
| 黒粒コショウ | 小さじ1 | スーパー全般 | 潰さずに丸ごと使う |
| 水 | 大さじ4〜6 | — | 酢の酸味を調整する |
| サラダ油 | 大さじ1 | スーパー全般 | 肉を焼く用 |
アレルゲン:大豆(醤油)。鶏・豚のいずれかを使用。
ソース照合メモ
| 食材・工程 | 現地語ソース(比語・英語フィリピン系) | 英語ソース | 日本語ソース | 判定 |
|---|---|---|---|---|
| 酢(白米酢またはサトウキビ酢) | ◎(Datu Puti, Silver Swan等のブランド名で頻出) | ◎(white vinegar or cane vinegar) | ◯ | 必須 |
| 醤油(フィリピン醤油) | ◎(toyo, Silver Swan soy sauce) | ◎ | ◯ | 必須 |
| ニンニク(潰す) | ◎(bawang, crushed) | ◎ | ◯ | 必須 |
| 月桂樹の葉(ローリエ) | ◎(dahon ng laurel) | ◎ | ◯ | 必須 |
| 黒粒コショウ | ◎(paminta) | ◎ | ◯ | 必須 |
| 砂糖 | △(一部レシピのみ) | △ | ◯ | オプション |
| 唐辛子 | ◎(一部地域のみ、ビコール地方) | △ | — | 地域固有・オプション |
| 肉を最後に焼きつける工程 | ◎(複数ソースで「sear after simmering」) | ◎ | △ | 核の工程として必須に近い |
この料理を成立させる核
- 酢と醤油の比率が「酢多め」であること。酢:醤油はおよそ1.5:1〜2:1。酢が少ないとアドボの酸味の骨格が失われる
- ローリエと黒粒コショウを丸ごと使うこと。粉末コショウに替えると仕上がりの香りが変わる
- ニンニクを潰す(みじん切りにしない)こと。大きめに潰した状態で煮込むことで、強烈に前に出ず全体に溶け込む
- 煮込んだ後に肉を引き上げ、フライパンで表面を焼きつける工程。これを省くと味は出るが、「アドボらしい」焦げた香りと表面のコクが失われる
- 白いご飯と一緒に食べること前提の塩気と酸味のバランス。単体では「しょっぱい・酸っぱい」と感じる程度が正しい
作り方
- 鶏もも肉(または豚バラ)を大きめの一口大に切る。骨つきの場合はそのまま使う。
- 深めの鍋に、酢・醤油・潰したニンニク・ローリエ・黒粒コショウ・水を合わせる。
- 肉を鍋に入れ、全体を混ぜてから蓋をして中火にかける。
- 沸いたら弱火に落とし、蓋をしたまま25〜30分煮込む。途中で一度上下を返す。
- 肉が柔らかくなったら、肉だけ鍋から取り出す。煮汁は鍋に残す。
- 別のフライパンに油を熱し、取り出した肉の表面を中火〜強火で焼きつける。各面1〜2分、焦げ目がつく程度。
- 焼きつけた肉を鍋の煮汁に戻し、弱火で5分ほど絡める。
- 器に盛り、煮汁をかける。ローリエと粒コショウはそのまま盛りつけに混じっていて構わない(食べるときに除ける)。
食べ方
白いご飯の上に煮汁ごとかけて食べる。スプーンとフォークを使う。フィリピンの家庭では茶碗ではなく平皿にご飯を盛ることが多い。
補足
- 失敗しやすいポイント:酢を火にかけた直後は酸味が強く感じられるが、煮込むうちに丸くなる。途中で味見して「酸っぱすぎる」と感じても、砂糖を加える前に10分待つこと。
- 代用提案の風味差:サトウキビ酢(スキャンス酢)が手に入ればより本場に近い丸みが出る。業務スーパーやアジア系食材店で入手可能。米酢でも成立するが、少し穏やかな仕上がりになる。
- フィリピン醤油について:Silver SwanやDatu Putiは日本醤油より塩気が強く色が薄い。日本の濃口醤油で代用した場合、塩気が変わるので大さじ3〜4から始めて調整する。
- 翌日の楽しみ方:翌日の方が味が染みる。温め直す際に少量の酢を加えると酸味が戻る。冷蔵で3〜4日保存可能。低酸度の状態で置きすぎないこと(特に夏場)。
- 時短バージョン:圧力鍋で工程4を10〜12分に短縮できる。焼きつけ工程は省かないこと。
同じ場所でも、毎回違う家族・違う偶然・違う料理になります。