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- 国:日本 - 地域:大阪府大阪市(北緯34.65度・東経135.50度、大阪平野の中心部) - 気候・地形:瀬戸内海式気候。夏は高温多湿、冬は比較的温暖で降雪は少ない。上町台地と淀川・大和川の沖積低地が混在する平坦な都市地形 - 暮らしの基本:人口270万超の商業都市。集合住宅(マンション・長屋改装物件)に住む世帯が多い。一人あたりの食費支出が他の政令市と比べ高く、「外食より自炊でも食にかける」傾向が統計上も出ている。スーパー・商店街・業務用食材店が混在し、食材の入手環境は全国でも密度が高い ---
路面はコンクリートで、ところどころ継ぎ目が浮き上がっている。夕方の日差しが低くなり、細い路地に建物の影が斜めに落ちている。 電柱が等間隔に並んでいる。地線が重なって空を区切っている。路地の奥に白い軽自動車が斜めに停まっていて、その脇に折りたたんだ段ボールが束ねてある。軽トラが一台、わきを抜けていく。エンジン音が路地の壁で反射して、少し遅れて消える。 スーパーの袋を両手に提げた男が、自転車をちょうど停めようとしていた。鍵がうまくかからないらしく、三度試みている。カゴの中の長ネギが一本、路面に落ちた。あなたが拾って渡すと、男は「あ、すんません」と言って受け取り、袋の口を縛り直した。「近くに来はったん? 上がっていきます?」という流れになったのかどうか、前後の言葉はほとんど聞き取れなかった。 三階建ての外付け階段を上がる。鉄製の踏み板が足の裏に固い。二階の踊り場にプランターがある。葉が枯れかけた、種類のわからない植物。洗濯物が一枚、物干し竿にかかったままになっている。 玄関ドアを開けると、靴が四足、脱ぎ散らかされている。子供のスニーカーが二足、男物の革靴、サンダル。鍵をかける音。「散らかっとんで」と男が言う。 廊下に折りたたみの踏み台が畳まれて立てかけてある。その横にランドセル。壁に子供の絵が貼ってある。セロテープが黄ばんでいる。 台所は廊下の突き当たりにある。引き戸が半分開いていて、油の温度があがる音がする。女が鍋のそばに立っていて、こちらを振り向いて「えっ」と言った。男が何かを説明している。女が「ちょっと待ってて」と言った。「どうぞどうぞ」とも言った。 あなたはダイニングテーブルの椅子に座る。椅子の足が床を少し滑る。テーブルの上に宿題のプリントが残っている。子供が二人、隣の部屋のテレビの音のほうに行ってしまっている。 台所から油が弾ける音。断続的に、一定の間隔で。女がトングで何かを返している。 しばらくして、皿がいくつかテーブルに並ぶ。薄い黄色の液体が浅い鉢に入っている。ちぎった形の豆腐が浮いている。白い湯気が三センチほど立って、揺れて、消える。 男が「おかわりも遠慮せんといてな」と言って席についた。 女が最後のものを持ってきた。小ぶりの鍋ごと、鍋敷きの上に置く。ふたを取った瞬間、熱い空気が上に抜ける。白い豆腐の塊と、茶色く色のついた液体。コンブが一枚、底に見える。 「どうぞ」 男が箸を手にした。 ---
今日のふらりごはん

湯豆腐

湯豆腐 / Yudōfu

この料理について

昆布だしで豆腐を温めるだけの料理で、大阪市内の家庭では寒い季節を中心に日常的に食卓に上る。「だしをきちんと引く」ことに重きを置く大阪の家庭料理の中でも、素材と出汁のみで構成されるため、昆布の質が直接味に出る一品。外食でも提供されるが、家庭版は鍋ごとテーブルに出して各自が取り分ける形が一般的。

材料(4人分)

食材分量日本での入手備考
絹ごし豆腐または木綿豆腐2丁(約600g)スーパー全般絹ごしのほうが崩れやすく、口当たりがなめらか
昆布(日高または真昆布)10〜15cm × 2枚スーパー、KALDI真昆布は大阪では定番。日高昆布より上品な甘み
1000ml
薄口醤油(ポン酢で代用可)大さじ2〜3スーパー全般つけだれ用
ゆず果汁またはレモン汁大さじ1スーパー全般ポン酢を自作する場合
みりん大さじ1スーパー全般つけだれ用
万能ねぎ(小口切り)適量スーパー全般薬味
おろし生姜小さじ1スーパー全般薬味
鰹節少量スーパー全般薬味として豆腐に乗せる場合

アレルゲン:大豆(豆腐)、小麦(醤油)


ソース照合メモ

食材・要素現地語ソース(大阪府・和食文化)英語ソース日本語ソース(クックパッド等)判定
昆布でだしを引く必須(大阪料理の基本として複数言及)必須必須必須
真昆布の使用大阪では真昆布が一般的と明記言及あり日高昆布も可とする記述多数地域固有・優先
絹ごし豆腐一般的一般的木綿も可優先(代用可)
ポン酢/つけだれ家庭ではポン酢+薬味が標準ポン酢言及あり標準必須
薬味(ねぎ・生姜)一般的一般的一般的必須
塩を昆布水に加える一部レシピのみ少数少数オプション
豆腐を沸騰前に入れる複数ソース強調強調あり強調あり必須(工程)

この料理を成立させる核

  • 昆布だしを水から引くこと。湯を沸かしてから昆布を入れるのは別物になる
  • 豆腐は沸騰する前の段階で鍋に入れること。沸騰後に入れると豆腐が固くしまり、す(気泡の穴)が入る
  • 昆布を煮立てないこと。ぬめりと苦みが出て、だしの透明感が失われる
  • つけだれにポン酢または薄口醤油ベースを使うこと。濃口醤油だけでは大阪の湯豆腐にならない
  • 豆腐の質に味の大部分が依存する。国産大豆・にがり使用の豆腐が最終的な味に最も影響する

作り方

  1. 昆布を水1000mlに浸し、30分以上置く(時間があれば1時間)
  2. 豆腐を4〜6等分に手でちぎるか包丁で切る。ちぎると断面が粗くなり、だしがしみやすい
  3. 鍋を弱火〜中火にかけ、昆布ごとゆっくり温める
  4. 鍋の底から小さな泡が立ちはじめたら昆布を取り出す(沸騰させない)
  5. 豆腐を鍋に入れ、そのまま弱火で5〜7分温める。豆腐の中心が温まれば完成
  6. つけだれを作る:薄口醤油大さじ2にみりん大さじ1を合わせて軽く温め、ゆず果汁またはレモン汁大さじ1を加える。市販のポン酢醤油でも可
  7. 薬味(ねぎ・生姜・鰹節)を用意し、鍋ごとテーブルに出す

食べ方

鍋のままテーブルの中央に置き、各自が取り分ける。つけだれの小皿に薬味を好みで加え、豆腐をくぐらせて食べる。だしはそのまま飲んでよい。ご飯と一緒に、または単独で。


補足

  • 失敗しやすいポイント:豆腐を入れてから沸騰させてしまうこと。豆腐が固くなり、食感が変わる。常に弱火を保つ
  • 代用提案:真昆布が入手できない場合、日高昆布で代用可能。ただし日高昆布はだしにとろみが出やすく、透明感は落ちる。風味差は小さいが、大阪の「すっきり甘いだし」とは少し異なる
  • アレンジ:白菜・春菊・えのき茸を加えると一人鍋に近づく。その場合の料理名は変わるが、工程は同じ
  • 翌日の楽しみ:残っただし汁は翌朝、薄口醤油で味を調えてご飯にかけるか、うどんを入れて食べる。このだしを捨てない習慣は大阪の家庭に広く見られる

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同じ場所でも、毎回違う家族・違う偶然・違う料理になります。

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